CONTAX G1 / G2 買うならどっち?作例てんこもり徹底レビュー
CONTAX G2(コンタックス G2)を今年の3月に購入、Carl Zeiss(カール・ツァイス)レンズの写りの素晴らしさに魅了され、3本買ったCONTAX Gマウントレンズを使いこなすため、後にCONTAX G1を買い増すくらいCONTAX Gシリーズが好きな筆者が、その素晴らしさをたくさんの作例とともに紹介する記事です。CONTAX Gシリーズを今まさに買おうかどうか迷っている方の背中をそっと押せれば幸いです。 CONTAX G1 / G2 買うならどっち?と迷われている方に、わたしの見解も紹介します。
CONTAX Gシリーズとは
わたしがCONTAX G2を買った理由は3つあります。
- 定評あるCarl ZeissレンズをAFで使えるカメラである
- 一眼レフより小さく携帯しやすい
- 見た目がかっこよい
この3点です。共感していただける方も多いのではないでしょうか。AFレンジファインダーという他にない独自の形式であることにも浪漫を感じますが、これは購入してから知ったことで購入の動機ではなかったです。そして、半年使ってみての感想は...
- 定評あるCarl ZeissレンズをAFで使えて素晴らしい
- 一眼レフより小さく携帯しやすい
- 見た目がかっこよい
うん、思ってた通り。最高です。それぞれについてより詳しく書きます。
定評あるCarl ZeissレンズをAFで使えるカメラである
CONTAXは、京セラのブランドです。カール・ツァイスと提携し伝統の技術を当時の技術で蘇らせ、ユニークな地位を確立していました。最高のレンズ・デザインのカメラを生み出したCONTAXですが、AF対応やデジタル化に遅れをとり、2005年にカメラ事業から撤退した点、とても興味深く深堀りして調べているところですが、今回の記事とは関係ありません。
購入したレンズは次の通り。広角、標準、中望遠の3本揃えました。
- Biogon(ビオゴン)T* 28mm F2.8
- Planar(プラナー)T* 45mm F2
- Sonnar(ゾナー)T* 90mm F2.8
一眼レフより小さく携帯しやすい
レンジファインダー形式とあってボディ、レンズが比較的小さく、一眼レフカメラより携帯性に優れています。浅いグリップですが、手に自然にフィットして持ちやすいです。コンパクトカメラと一眼レフの中間に位置する大きさ、大きめのカバンを使っているなら入れっぱなしにしておけます。よりコンパクトなカメラがいい場合は、CONTAX Tシリーズという選択肢もありますね。
見た目がかっこよい
これは説明不要ですね。チタン地色に実用的で洗練したデザイン。身につけて出歩くと誇らしい気持ちになります。ブラック塗装の限定モデルも時々中古で販売されているのをネットで見かけますが、ブラックもかっこいいです。
CONTAX Gマウント用レンズ一覧
CONTAX Gシリーズのレンズマウントは専用に設計されたコンタックスGマウントで、他CONTAXのマウントとも直接的な互換性を持っていません。CONTAX Gシリーズのカメラはフランジバックが短いため、一眼レフボディで使用することは不可能らしいです。ただ、ミラーレスデジタル一眼カメラでは使用可能とのことで、わたしはSONY Eマウント用のアダプタを購入しました(ほとんど使っていませんが)。
CONTAX Gシリーズで使えるレンズは次の通り。
- Hologon(ホロゴン)T* 16mm F8
- Biogon(ビオゴン)T* 21mm F2.8
- Biogon(ビオゴン)T* 28mm F2.8 ★作例あり
- Planar(プラナー)T* 35mm F2
- Planar(プラナー)T* 45mm F2 ★作例あり
- Sonnar(ゾナー)T* 90mm F2.8 ★作例あり
- Vario-Sonnar(バリオゾナー)T* 35-70mm F3.5-5.6
T*(ティースター)コーティングとは
「T* 」は、Carl Zeissが施したコーティングの名称。ティースターと読みます。単にレンズ面にコーティングを施しているというだけでなく、複数のレンズで構成される光学系全体の性能が基準を満している場合にだけ記載し、高い信頼性の証としています。特徴は、非常に高い乱反射防止効果と、高度な色再現性とのこと。太陽に向かって撮影しても色が破綻せず画を出してくるあたりに、凄みを感じます。コントラストの高さや色乗りのよさ、至高の画作りはこのコーティングがあるから実現しています。
データバックについて
データバックはCONTAX Gシリーズの純正アクセサリ、つまりオプションです。時々、中古で単体で売られているものも見かけますが、基本的にデータバックあり/なしを購入時に選ぶことになります。G1用の「データバック GD-1」、G2用の「データバック GD-2 マルチファンクションタイプ」があります。わたしはG1/G2ともにデータバックつきのものを購入しました。
G1用「データバック GD-1」は、オートデート(自動日付写しこみ)機能のみです。G2のデータバックを最初に使っていたわたしは、購入前はそれに気づいておらず、「日付だけかい!」と思ってしまいました。
G2用の「データバック GD-2 マルチファンクションタイプ」は、日付に加えて撮影時の露出データをまとめて写し込む機能がついています。写し込み箇所は、各コマ間またはフィルム一コマ目・二コマ目へのまとめ写し込みに対応しています。日付も写真内ではなく、外に写し込むというのが、「作品づくりにこのカメラを使ってね」というメッセージなのかなと思いました。
CONTAX G1/G2 の違い
G2は、G1の発売から2年という当時としては短いスパンで発売されました。G1のよくなかった点を潰してきたた改良版がG2なのです。よくなかった点は、オートフォーカスの精度が大きかったのだろうと思います。その他、マニュアルフォーカス時のピントあわせのしやすさ、シャッタースピードが1/2000から1/6000に(AE時)、連射速度が秒2コマから秒4コマに向上しました。
CONTAX G1/G2 のスペック
カメラ | CONTAX G1 | CONTAX G2 |
---|---|---|
形式 | オートフォーカスレンジファインダーカメラ | |
シャッタースピード(速) | 1/2000 秒(AE時) | 1/6000 秒(AE時) |
露出計 | TTL中央重点実絞り測光 装着レンズにより外部測光に切り替え |
TTL中央重点ダイレクト測光 |
オートフォーカス 測距方式 | パッシブ | パッシブ/アクティブ併用 |
オートフォーカス コンティニュアス | 非対応 | 対応 |
連続撮影速度 | 秒2コマ | 秒4コマ |
レンズマウント | コンタックスGマウント ※焦点距離が35mmと21mmの レンズはROM改造が必要 |
コンタックスGマウント |
使用電池 | CR2リチウム電池x2 | |
幅x高さx奥行 | 133x77x42 mm | 139x80x45 mm |
重量 | 460 g | 560 g |
発売年 | 1994年 | 1996年 |
CONTAX G1のROM改造について
CONTAX G2発売時、次の2レンズが発売されましたが、これらはG1で使うことができずROM改造が必要になります。
- CONTAX Planar T* 35mm F2
- CONTAX Biogon T* 21mm F2.8
G1の購入を検討されている方でこれらのレンズを使いたい方は、ROM改造しているものを選んでください。中古販売サイトの商品ページにはROM改造しているものはその旨記載されていると思います。裏蓋を開けた時のシールが緑色であればROM改造している証です。ROM改造していない場合は、白いシールが貼られているそうです。
CONTAX Gシリーズのよくないところ
CONTAX Gシリーズのよくないところ、4つ挙げます。
- ファインダーが小さくやや暗い
- マニュアルフォーカスが使いづらい
- 故障すると修理ができない可能性も
- 価格が高騰している(特にCONTAX G2)
ファインダーが小さくやや暗い
サイズを小さくするためか、ファインダーはとても小さいです。狙いすまして目をファインダーにもっていかないといけない感じがしています。ニコンの一眼レフF3とF100を持っていますが、比べると1/4くらいの大きさです。サッとファインダーを覗くには慣れが必要で、最初は「狭っ」と思うかもしれません。
マニュアルフォーカスが使いづらい
G1のマニュアルフォーカスは、軍艦部にあるフォーカスダイヤルを回して距離をあわせます。ファインダー内にフォーカススケール(ピントのずれ量)が表示されますが指標にすぎず、2重像もないためピントがあっているかよく分かりません。
G2のマニュアルフォーカスは、G1から変わってカメラ前面にあるフォーカスダイヤルを回す形になりました。G1と同様に2重像はなく、ファインダー内のフォーカススケールで確認します。ファインダーを覗きながら操作できる点は改善されましたが、ほとんど使ったことがないです。
故障すると修理ができない可能性も
2005年に京セラがCONTAX事業から撤退、2006年9月にサポートも終了したとあって、故障すると修理ができない可能性があります。
調べると「リペアサービス諏訪」という京セラからCONTAX製品のカメラ・レンズ補修サービスをすべて継承したお店があるようです。故障した場合は、ここに相談するとよいと思います。
価格が高騰している(特にCONTAX G2)
ここ数年、フィルムカメラの人気機種は中古価格が高騰しています。高級コンパクトカメラと呼ばれるカテゴリでは顕著です。5年前と比べると倍近くになっている機種もしばしば。フィルムカメラの開発は終わっているので、これから希少価値は増すばかり。さらに、若い方を中心にフィルムカメラブームが来ている(よく言われるけどいまいちピンときていない)のが要因です。特にG2は5年前から倍近くの金額になっているような気がします。
CONTAX G1 / G2 買うならどっち?
違いとして大きいのがAF精度。G1は使っていて、ピントがなかなかつかまらないこともあり、ちょっとしたストレスを感じることもあります。ピントがつかまらない時は、同じ距離にある別のものでピントをとり、フォーカスロックして撮影するという感じです。一方のG2では、ピント合わせに躓いたことはほとんどありません。
ただ、価格差には開きがあります。調べた感じ、中古「AB」ランクくらいだと、G1が30,000円〜40,000円程度なのに対し、G2は、100,000円くらいします。この価格差は大きいですね。ただ、先にも書いた通り、これから希少価値は増すばかりなので、状態のよいものはこれからも高くなり続けることが予想されます。今が一番安いと考えた方がよいと思います。
広角中心でスナップ撮影をすると決めているならシビアなピント精度が必要ないG1でよいと思います。中望遠の90mmも使いたいとなると、G2の方がよりよいことは間違いないです。G1の「ピント合わせの苦手な被写体」のクセを把握して攻略しようという気持ちになれれば、とても安価にZeissレンズの描写を楽しめるので、幸せなことと思います。
これらのカメラを買う前の自分にアドバイスできたとしたら「価格差が大きいからG1にしておきな。AF精度はG2が優れているが撮り方でカバーしろ」と言うと思います。
レンズごとの作例
ここからはレンズごとの作例を紹介します。下手な鉄砲作戦でたくさん貼り付けました。紹介する作例は、ほとんどCONTAX G2で撮ったものです。それは、最初に買ったからということと、G1は、主にG2を使う時のサブ機として使うことが多く、使用頻度が少ないからです。
Carl Zeiss Planar T* 45mm F2 (G)
金沢城とその周辺で撮ったスナップ写真
CONTAX G2ファーストロールより。ヌケのよさ、高コントラスト、開放で撮った時の立体感に驚きました。さすがPlanar(プラナー)と唸るばかりでした。
金沢21世紀美術館で撮ったスナップ写真
夕暮時に撮影。色がとにかくきれい。
着物ポートレート
人物をぐわっと鷲掴みにする立体感、艶のある描写、このレンズがGマウントレンズの中で一番ポートレートに適しているのではないでしょうか。モデルは、miiさんです(miiさんのTwitterアカウントはこちら)。加賀友禅の着物を着てもらい、『ゲストハウス 和んで』の和室をお借りして撮影しました。
お散歩スナップ写真
何気ない風景も画として成立させてくれる強さがこのレンズにはあります。
Carl Zeiss Sonnar T* 90mm F2.8 (G) 作例
金沢港クルーズターミナルで撮ったスナップ写真
より主題を明確にしないといけない90mmという画角。撮影時の意図を期待以上の画で返してくれるレンズです。
遊園地(手取フィッシュランド)で撮ったスナップ写真
色乗りのよさは、曇り空でも遺憾なく発揮されました。
夕暮れ時の海で撮影したスナップ写真
太陽に向かってレンズを向けても画が破綻することがないので、信頼感を持ってシャッターを切ることができます。
薄明さんとひがし茶屋街にスナップ撮りに行った時の写真
薄明さん(@_hakumei_ )と夕方のひがし茶屋街に行ってスナップ撮りに行った時の写真です。人物撮影した時の描写は、よりレンズの素晴らしさを感じます。コントラスト、色乗り、ボケの柔らかさ、最高です。
Carl Zeiss BiogonT* 28mm F2.8 (G) 作例
カメラ本体もコンパクトでシャッター音も小さいので、狭い路地でも機動力を活かした撮影が可能です。広角ながらゆがみがないのも特徴です。
主計町茶屋街、ひがし茶屋街およびその周辺で撮ったスナップ写真
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