写真家のための映画用フィルム『CineStill 800T』レビュー

今回は、カラーネガフィルム『CineStill 800T』を使った感想を作例とともに紹介します。『CineStill 800T』は、映画撮影用タングステン光用のISO800カラーネガフィルムです。以前に低感度バーション『CineStill 50D』のレビュー記事を書いたこともあります。また、YouTubeで動画でも紹介しているのであわせてご覧ください。


CineStill 800Tの特徴

CineStillは、映画撮影に使われているフィルムKodak Vision 3 (5219) からレムジェット層を除去し、一般的なカラー現像(C-41現像)を可能にしたものです。レムジェット層とは、ハレーションや静電気の防止、潤滑および保護を目的とするものらしいです。静電気防止と潤滑というのが、映写機で回転し続ける映像用のフィルムらしいですね。


数多くの有名な映画撮影に使われたフィルム


Amazonの商品紹介文で知りましたが、Kodak Vision 3 (5219) は、スター・ウォーズ、バットマン、レ・ミゼラブルなど、名だたる数多くの有名な映画撮影に使われたフィルムだそうです。この中では、わたしはスター・ウォーズしか観たことがありませんが、自分の好きな映画が使っていたとなると俄然使ってみたくなりますよね。

独特なハレーション


逆光で撮影しハレーションが出た写真

ハレーションを防止する層が取り除かれているので、強い光線を取り入れた時には独特のハレーションが起こります。これを味として色合い含めて楽しめそうと思った方は試してみるとよいと思います。

ハレーションと同じような意味合いで、レンズフレアという現象もありますが、ハレーションはフィルムのベース面で反射した光線が再び乳剤を感光させる現象のことで、レンズフレアとは別のものです。

紹介したハレーションが出た写真は、曇りの日に撮ったものですが、もう少し日が明るく照っているともっと出てくるかもしれません。このフィルムを使う時には、その特徴を確認するために1枚くらいは、強い光に向かって撮ってみるとよいと思います。


タングステン


『CineStill 800T』の最後の「T」はタングステンであることを意味しています。黄色っぽく光る電球の3200ケルビンにあわせて作られているため、夜、電球が灯る室内で撮っても黄色っぽくなりませんが太陽光で撮影すると青くなります。そのため、太陽光で撮影する時にはレンズに色温度変換フィルターをつけて色味を調整したりするそうです(85Bフィルターがおすすめとのこと)。Kodak Vision 3は、編集段階のデジタル加工がしやすく、露光条件の悪い環境下でも対応できるフィルムらしいですが、そうは言っても、撮影時点でのフィルム、フィルター選びはデジタルよりシビアなのでしょうね。

今回紹介する作例は、曇りの日の夕方に撮影したので、写真屋さんにデータ化してもらったままでは青みがかっていました。それをAdobe Lightroom CCを使ってホワイトバランス調整を行いました。いやー、便利な世の中になったものです。調整前後の写真を紹介します。


ホワイトバランス調整前(写真屋さんにデータ化してもらったまま)


ホワイトバランス調整後(Adobe Lightroom CC使用)


今回紹介する作例は、すべてこのホワイトバランス調整を行ったものです。元の色味も嫌いではないですが。


使用したカメラ・レンズ


CONTAX G2

使用したカメラは、3月に購入したCONTAX G2です。このカメラのレビューはまた今度じっくり書きたいと思います。とりあえずかっこよくて、高機能なので気に入っています。

レンズは Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント

記事にはできていないですが、YouTubeでは、このレンズを使った作例を紹介した動画をアップしています。とてもよい写りをします。ぜひご覧ください。


CONTAX G2& Carl Zeiss Planar 45mm F2 T*


データパック


CONTAX G2には、撮影時の露出データをまとめて写し込むことができるデータバックをつけています。下の画像のようにフィルムの最初の2コマに写し込まれます。これにより、フィルムカメラでありながら撮影時の設定を紹介できるようになりました。データバックについてはCONTAX G2のレビュー記事を書く時にまた詳しく紹介したいと思います。


データバック1コマ目


データバック2コマ目


CineStill 800T作例


36枚撮りのフィルムでしたが、結果35枚+データバックの2枚の計37枚撮れました。その撮った写真のすべてを紹介します。曇りの日に40分くらいで一気に撮りきったので、光の強さに変化がないのが作例としてイマイチではありますが、フィルムの個性は感じ取っていたけると思います。


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/90


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/90


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/90


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/125


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F3.5 1/90


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F5.6 1/45


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.4 1/125


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F3.5 1/250


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/125


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F8.0 1/15


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.8 1/700


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F9.5 1/45


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/90


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.4 1/250


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.0 1/350


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/125


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F3.5 1/60


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/60


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.0 1/500


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.4 1/350


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.0 1/350


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/1000


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.0 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.4 1/350


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/60


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F3.5 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F4.5 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F5.6 1/125


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.0 1/500


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.0 1/1400


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F3.5 1/180


Camera: CONTAX G2 LENS: Carl Zeiss Planar 45mm F2 T* Gマウント F2.0 1/700

締めの言葉

最後まで見ていただき、ありがとうございました。『CineStill 50D』を使ったときにも感じましたが、緑色に特徴がでやすく全体的にもやや青緑がかった色合いがとても好みです。もう少し暗くなってからや室内など、色んなバリエーションで撮ってみたいと感じました。中判用の120のサイズのフィルムも購入してあるので、この記事に追記するか、別の記事にするか決めていませんが、また紹介します。



この記事の動画


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